所有者・管理者向け情報

排水設備の目的は使用場所から使用した水を速やかに排除し、水使用を行う場所の衛生と水使用機器の機能・衛生を確保することである。排水設備を正常に維持し、衛生管理を保持するには排水機器や排水管の点検と清掃(以下、点検、清掃という)を行うことが欠かせないものになっている。


排水管の清掃周期は?

清掃周期は、建築物衛生法で排水に関する設備の清掃を、6ヶ月以内ごとに1回、定期的に行わなければならないとしている。この規定はミニマムレベルの基準であり、排水の搬送力が脆弱で、様々な物質が流入し、他の設備に比べてトラブルが多いという排水設備の特性を考慮するなら、さらに短期間の(例えば3、4ヶ月に1回)ごとの清掃が望ましい。とりわけ営業用厨房の排水系統は、1ヶ月ごとの点検と3ヶ月に1回の清掃が望まれる。また、特定建築物だけでなく、それ以外の一般ビル、住宅・ホテル等の建物についても、少なくとも6ヶ月に1回の点検清掃が必要である。特に、集合住宅の台所排水系統の清掃は重要である。

[図1]建物用途別排水管清掃の実施状況

[図1]建物用途別排水管清掃の実施状況

[図2]契約物件での清掃周期

[図2]契約物件での清掃周期

[図3]トラブルの生じた建物用途

[図3]トラブルの生じた建物用途

図1、図2は当協会が実施したアンケート調査で、建物用途別排水管清掃の実施状況では66%以上が集合住宅で清掃の実施が行われていることが判る。また、契約物件での清掃周期では2年以内に1回が約95%となっている。

図3のトラブル事例の分析では、トラブルの生じた建物用途でも、集合住宅が約60%と高い割合を示した。例えば、居住者の非常識な使用(異物・危険物の排水系統への投入などがあれば、直ちに排水機能が停止し、排水設備が良好に維持管理されなければ、水・湯が使えないばかりでなく臭気や排水の逆流・侵入により室内等が非衛生な状態になる。その意味から、建物管理者と清掃業者そして居住者が意識を高め協力していくことが重要である。


清掃はどこに頼めば?

平成14年4月1日に改正建築物衛生法が施行され、「建築物排水管清掃業」が登録業に追加された。登録基準は、①物的基準、②人的基準、③その他の基準があり、厚生労働省の通達・ホームページなどに詳細が発表されている。建物管理者および居住者が今後、登録業者であるかどうかが清掃業者を選定するときの1つの基準となる。